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今中国の書店がすごいことになっている件 前編

まるでそう言わないと格好がつかないかのように、業界では揃って出版不況に青息吐息。

果たして本当に未来が見えない状況なのか、だとすれば今後どうすればよいのか、

はまた別の機会にでも取り上げたいとして、確かに統計上から見ても、

昔ながらの書店(大規模チェーンではなく、近所にあったような小規模書店)が

その数を減らしていることは確かなようだ

http://www.1book.co.jp/001166.html)。


中国でも90年代に最初のピークを迎えた民営の独立書店がその数を減らして、

業界ではやれ活字離れだの、紙の本が読まれなくなるだのちょっと騒がれていたのだが、

この1-2年で書店が息を吹き返してきた気がしている。(もちろん確固たる統計を取るのが

極めて難しい中国なので、「息を吹き返している」と感じるのは、

しばらく中国に住んでいた私の個人的な感覚にしか過ぎない。)



私は中国語で1冊読破できるほどの集中力がないにも関わらず、
本屋の雰囲気は嫌いではなかったので、
本屋の動向はなんとなくではあるけれど注目をしていた。

最初に「お気に入りかも!」と思った書店は「光合作用」で、

ここは駅からのアクセスも良く雰囲気も日本の書店と似た部分もあることから、
息良く抜きにふらりと立ちよることもあった。

国営の大規模書店ではその数に圧倒され何をどう選んでよいのか途方にくれたが、

小規模な独立書店はすでに店主によってふるいに掛けられた書籍が並ぶので、

「光合作用」は私のような中国本の入門者には優しかった。

が、そんな「初めてのお友達」になれそうだった「光合作用」も気が付くと閉店。

北京に複数あった店舗すべてがまるで波がひくように撤退していた。

完全撤退の事実を確認した時、「あっ、本屋って本当になくなるんだ」と、

ようやく出版不況を自分事として実感することになったのだった。



思い返せば、当時私の周りにいた中国人の同僚(ほとんどが20代前半までの若者)で

「読書が好き」という人はあまりいなかった。ブックリーダーが出始めたころだったので、

それを使って通勤時間に(時には就業時間にも)読書をしている同僚もいるにはいたが少数派で、

文字を追いかけるよりもネットゲームに夢中になっている同僚の方が多かった。

ソーシャルネットワークが流行し始めた頃でもあり、(SNSは微信が一世を風靡する前で、

当時は人人網あたりが人気だったと記憶している)ますます紙の本に対する注目度や関心が下がっていった。

そのような状況であったので私は、当時勤めていたフリーペーパーで、

本屋に関する特集を組ませてもらったこともある(反響はいまいちだったが・苦笑)。

これが確か2011年とか12年のことだったと思う。



そこからちょっぴり時は流れ、この1-2年で書店、

中でも小規模な独立書店と分類される書店が息を吹き返してきた

(息を吹き返してきたのは、国の政策が後押しした部分も大きいのだろう。

参照→ http://j.people.com.cn/n3/2016/1229/c206603-9160689.html )。

民営の独立書店が全国主要都市での多店舗展開に意欲的に取り組んでいたり、

24時間営業を開始して営業利益を上げたり、

国営書店が大胆に店舗リニューアルをして新たな顧客を獲得したり。

小規模でもこだわりを持った個性的な独立書店も増えているし、

図書館も含めれば胡同の四合院から、少数民族の暮らす山の上まで、

あらゆる場所に新しい読書空間が百花繚乱の様子を呈している。


以下、またまたネットで拾ってきた情報で恐縮だが、

百花繚乱っぷりの一端をつかんでもらうために、

いくつか代表的な本屋の写真を張り付けてみる

(写真は掲載許可を取っていない無断借用である。

削除の必要がある場合はいつでも削除するので教えてほしい)。



▼2017331正式オープンの「前言後記安慶勧業創意書店」(安徽省安慶市)。
民国時代の役所だった建物をリノベ。
本屋の他に生活雑貨などを幅広く扱う。(写真はanhuinews.comより)

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▼南京の著名書店「先鋒書店」は店舗ごとで異なる雰囲気。
2016年にはナショナルジオグラフィックで世界の優れた10の書店に選出された。

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▼上海などにも多店舗展開する「鍾書閣」。20164月に浙江省杭州市にオープンしたこの店舗は、
そぎ落としたシンプルさとは違う美しさ、評価が分かれそう。

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▼先鋒書店が手掛ける山の上の最も美しい図書館「雲夕図書館」(浙江省桐廬県)

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▼おなじみ、国営の新華書店(福建省福州市)も、
もうただ並べるだけじゃないスタイリッシュな空間に変身

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と、かなり乱暴に紹介してみたが、なんとなく中国の本屋も日本の本屋みたいに面白そう、

と思っていただけたなら幸いだ。

ずっと北京に住んでいたので、北京の本屋しか目に入らなかったが、
全国的に見るとまだまだ、まーだまーだ注目に値する本屋は多い

(完全O2Oの書店や、ロボット店員が検索を手伝ってくれる書店もあるみたい)。


それをリアルタイムで確認することができないのが歯がゆいが、

中国で近年活気づく本屋さんや図書館は引き続きウォッチしていきたいと思う。










by leatong | 2017-06-01 16:39 | 本屋と図書館とブックカフェ  

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